経営事項審査申請(経審)とは?
経営事項審査とは国土交通大臣又は都道府県知事が、競争入札に参加しようとする元請建設業者の規模・施工能力、財務の健全性など経営に関する事項を審査する制度です。
一般的に「経審」と呼ばれています。
公共工事の入札参加資格認定申請の際、この経営事項審査結果通知書の提出を求められますので、入札参加のための前提条件といえるでしょう。
公共工事とは??
国、地方公共団体、公共法人(公社、公団、土地改良区、土地区画整理組合など)その他建設省令で定める法人(NTT、JRなど)が発注する工事であり、工事1件の請負代金の額が500万円(建築一式工事は1,500万円)以上のものをいいます。
経営事項審査申請(経審)のメリット
民間工事の場合でも発注者が経審の総合評点を業者選定のポイントにするケ-スが出ており、工事施行業者の相対的な実力を判断する指標ともなっております。
経営事項審査を受ける=毎年書類を整理し、点数向上に向けて事業体制の洗練に努めていると見なされますので、対外的な信用のアップにもつながります。
経営事項審査申請手続の一般的な流れ
1、順序
(1)経営状況分析
まず、経営事項審査申請をする前に経営状況分析を済ませておく必要があります。
この経営状況分析の申請を行うために、建設業許可に係る決算の変更届出書を提出します。
その後、登録経営状況分析機関に、財務内容(売上高営業利益率、総資本経常利益率、キャッシュフロー対売上高比率、必要運転資金月商倍率、立替工事高比率、受取勘定月商倍率、自己資本比率、有利子負債月商倍率、純支払利息比率、自己資本対固定資産比率、長期固定適合比率、付加価値対固定資産比率)などのデータを提出し、審査請求します。
ここで建設業者の財務に重点をおいた評価(Y評点)がされます。このY評点が、経営事項審査の評価にとって重要なポイントとなります。
(2)経営事項審査
次に、必要書類と経営事項審査結果通知書をもって各都道府県の土木部管理課などに経営事項審査申請を行います。
この審査によって、建設業者の総合的な能力が客観的に判断され、評点がつけられます。
【まとめ】 |
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① 経営状況分析(申請先:分析機関) ② 決算変更届(申請先:管轄県民局) ③ 経営事項審査(申請先:管轄県民局) |
2、審査項目
審査項目は次の5つに大きくわけられます。
(1)工事種別年間平均完成工事高の評点
許可を受けている建設業種ごとの完成工事高が、評価の対象となります。
2年平均もしくは、直前3年平均の完成工事高を申請しますけれども、この平均値の選択は任意です。
(2)自己資本額および職員数の評点
自己資本額とは、資本金そのものではなく、決算時に社内留保されている自己資本の額をいいます。
この自己資本額については、2年平均の額を任意で選択することができます。
職員数とは、建設業に従事している常勤の役員・従業員をいいます。
非常勤の役員、パート・アルバイト、建設業以外の兼業に従事する従業員は、評価の対象となりません。
(3)経営状況分析の評点
財団法人建設業情報管理センターをはじめとする、外部委託機関へ申請後、分析結果が点数化されて通知されるものです。
(4)技術力(工事種類別技術者などの数)の評点
技術力の客観的な指標として、建設業法などで定められた資格を持っている職員がどれだけいるのかを評価します。
建設業法の他に、建築士法、技術士法 電気工事士法、電気事業法、水道法、消防法、職業能力開発促進法などの法律で定められた資格、建設業法により一定の要件を満たした実務経験も評価対象となります。
1級資格を持つ職員が多くいるほど評点は高くなります。
また、2年平均の技術職員数を任意で選択することができます。
(5)その他
(労働福祉の状況、営業年数、工事の安全成績、建設業経理事務士などの数)の評点
労働福祉の状況は、雇用保険や社会保険への加入、福利厚生の充実度が評価対象となります。
工事の安全成績は、前年度・前々年度に業務災害による死亡者もしくは負傷者の有無を審査します。
審査終了後、都道府県(大臣許可建設業者の方は、国土交通省)から経営事項審査結果通知書が郵送されます。
※都道府県によって手続が異なる場合があります。
※建設業の許可を受けていない方は申請できません。
また、許可を持つ業種以外は申請できません。
審査の基準日は、申請直前の営業年度の終了日(決算日)です。
経営事項審査申請(経審)の有効期限
有効期間は1年7ヶ月です。
有効期間の起算日は審査終了日ではなく、毎年の決算日です。
決算後3ヶ月以内に経営状況分析を、4ヶ月以内に経営事項審査請求を受けてください。
それが遅れますと有効期間に空白が生じることとなり、公共工事を落札しても、発注者との契約ができない場合がありますので、毎年公共工事を国、地方公共団体等から直接請負おうとする建設業者の方は、有効期間が継続するよう、毎年定期に経営事項審査を受ける必要があります。
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